第3期は、東村アキコの多様性を感じさせる4作品を特集します。育児エッセイ、宇宙人ギャグ、美醜について考えさせられる薄倖の美人ギャグ、探偵&グルメというまさに多様な東村世界に触れてください。
ケース09〜12および壁面中段右は「ママはテンパリスト」特集。東村アキコの育児エッセイマンガである本作は育児の辛さを笑いに転化したヒット作の中から、特に印象深いエピソードをふたつご紹介します。
ケース13〜16および壁面中段左は「メロポンだし!」特集。芸能人を目指すイプシロン星人の子どもメロポンの奮闘を描くギャグ作品である本作からは、イプシロン星人の頭の触角(軟骨)をひっぱるインパクトあるシーンを抜粋しています。
ケース17〜20および壁面下段右は、美人過ぎて薄幸の人生を送る「主に泣いてます」の主人公泉さんの、美しいイラストとコスプレシーンを交互に展開。
ケース21〜24および壁面下段左は「美食探偵 明智五郎」特集。ちょっと気取った美食探偵の口癖「やあ」が登場するシーンを集めてみました。デジタル作画に移行してゆく原画の様子も一緒にご堪能ください。
ケース25〜32および映像モニタでは東村プロダクションの関係者や仕事の様子などを紹介します。
父・健一に関するエピソードはほぼ実話!東村アキコの初の週刊&青年誌連載作品
作者の美大卒業後の経緯を元に、実話を交えながら描かれたギャグマンガ。
物語は、アキコと植木屋の健一(健一2号)の恋物語だが、実父・健一(健一1号)のレジェンド級の実話エピソードが随所に織り込まれ、周囲に爆笑と恐慌をまき散らす!特に後半はストーリーそっちのけで、生ける伝説・健一1号に負けずとも劣らない強烈な脇役たちが自由に暴走していく先の読めない展開に…。
“ドタバタギャグ”と“実話をもとにしたエピソード”という東村作品の大きな二つの特徴が備わった本作。その物語の疾走感から「東村作品の最高傑作」と語るファンも多い。
東村アキコの一言
疾走しながら描いた作品 こんなのもう二度と描けない
漫画家として初めて「最終回」にきちんと向き合って描いた作品です。また、この時期は育児のピークともろ被りだったので、とにかく寝られなくて一番つらかった時期でした。初の週刊連載だしテンパった頭で描いていたので、自分でも何を描いたかほとんど覚えていないんですよ。デザイナーさんには「クスリやりながら描いてんじゃないか?」って本気で言われたりして(笑)。ひたすら勢いで描いたこういう作品は、もう一生描けないんじゃないかと思いますね……。
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
東村アキコの赤裸々な自叙伝
美大受験のために通うことにした絵画教室で出会った恩師・日高先生。
物語は、若き日の東村アキコ本人と日高先生を中心に、東村が「マンガ家になる」夢を叶えるまでの紆余曲折の人生を描く。
“今の東村アキコ”が若気の至りそのものの青臭い言動に真っ赤な顔で入れていく痛烈なツッコミ。そして胸に残された後悔や「今だからわかること」を、日高先生に語りかける口調で書かれる叙情的なモノローグは、読者に様々な感情を引き起こし、多くの感動を生んだ。
東村アキコの一言
漫画家になるには“描くしか”ないと気付いてほしい
よく「働き過ぎ」と言われるのですが、私が今の仕事量をまるで苦に思わずに捌けているのは、日高先生のスパルタ教育があったからだな…と、この作品を描いて改めて感じました。絵に比べれば漫画を描くことなんて、楽しくて仕方がないんですよ(笑)。あと、私のところにはよく漫画家志望の子が相談に来るのですが、「どうすればいいですか?」と言われても「そんなの、描くしかないでしょ」としか言えない。もうなんか「みんなまとめてコレ読んで!」って気分です。
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
東村アキコの“原点”がここにある
ギャグマンガに開眼した初連載作品
見た目は大人、モデル級のプロポーションをしているのに、実は小学6年生の湯川ユカ。見た目と実年齢のギャップに加え、精神年齢は6歳という底抜けに明るく元気な女の子で、親友・みどりちゃん(古着屋の娘)のコーディネートで、毎日元気に登下校する。
東村作品に通底するドタバタコメディ的作風は、本作から始まり、恋愛が絡みながらもギャグ風味なので少女マンガ特有の気恥ずかしさはなく、男性でも読みやすい。
東村アキコの一言
この作品がキッカケでギャグを描くようになった
当時はラブストーリーを正面から描くのが恥ずかしかったから、主人公を小学生にしたんです。青臭いでしょ?(笑)第3話「ひなまつり」の話で、ユカ母が〝七人の侍びな〟を作るというギャグを描いたら、編集部内でやたらとウケて。アンケートの順位も3位に上がったんですよね。「これいいよ!東村さん、ギャグやりなよ!」となって、そこからギャグ方面に振り切って描きはじめました。連載の前半は宮崎で会社勤めをしながらだったので、憔悴しながら描いていましたね。
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
オタク女子×恋愛×ファッション
東村アキコの本気が詰まった代表作
おしゃれに縁がなかったおたく少女と女装男子が繰り広げる騒動を描いた物語。イラストレーターを志して上京したクラゲおたくの倉下月海が住むのは、昭和レトロな外観の男子禁制アパート「天水館」。住人はみな個性的なおたく女子で、自分たちを「尼〜ず」と称し、外部との接触を避け、まったりと楽しいぬるま湯のような日々を送っていた。そんなある日、女装男子・蔵之介との出会いから、運命の歯車が動き出す…。
単行本は累計390万部突破(16巻現在)。「ノイタミナ枠」にてアニメ化され、2014年12月には能年玲奈主演で実写映画化もされた。
東村アキコの一言
〜 今だから語れる『海月姫』のヒミツ 〜
『海月姫』は、私が初めて“プロの漫画家”として描いた作品だと思っています。しっかり準備してスタートした連載なんです。
私の中ではぶっちゃけ最初から「絶対いける!」って、妙な確信があったんですよ。実は最初の設定では、蔵之介は普通に女のコだったんですよ。でも当時の担当さんが「この美女の方を、男にしませんか?」って。当時はまだ「女装男子」という言葉もなかったし、主人公と恋に落ちるだろうヒーローが“女装癖の男のコ”とか、すごく斬新に思えて。私はオタクを描くのも得意だし「これは絶対、面白くなる!」と思ったんです。
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
東村アキコの一言
私に恋愛相談をするアラサー女性への答えです
私はアラサーの女性からよく恋愛相談を受けるんですが、みなさん「幸せはいつ来ますか?」と聞いてくるんですよ。みなさん、気付いてください!待っていて幸せがくるのは25歳まで!そこから目をそらすアラサーが多すぎるんです。「結婚したいのであれば、もはやトキメキは置いといて“一緒にいて大丈夫な人”と結婚しろ」って言い続けています。それでもピンとこない人が多いみたいで……。もう、まとめてみんなこの作品を読んで!全部描くから!
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
東村アキコが挑む本格大河ロマン
越後の虎、女・上杉謙信の一代記!!
時は享禄3年(1530年)1月。越後の春日山城城主・長尾為景の第3子が誕生する。頼りない嫡男・晴景に代わる後継ぎとして期待された赤子は…足が大きく元気な———姫だった。落胆する為景だったが、すぐにこの子を姫武将として育てる決心をする。寅年生まれの姫の名は「虎千代」。彼女こそ、軍神・毘沙門天の生まれ変わり。武田信玄がライバルと認め、織田信長が恐れた、戦国最強の武将上杉謙信、その人である!
東村アキコの一言
私がはじめて真面目に(!?)、苦労しながら描いている作品です
まさか自分が時代ものを描くことになろうとは……。虎というヒロインにひっぱられながら描いています。何の欠点もない完璧な女の人を一度描いてみたいと思って。マンガのキャラクターって何か欠点を作ると感情移入できるんですが、欠点の無いキャラクターがいてもいいじゃんと。マンガ家を20年近くやってきて出産と子育てを経験したから描いてみたくなった女性像かもしれません。宝塚の舞台になるのが夢ですね。
2歳をずいぶんすぎてもおっぱいを飲み続けている息子ごっちゃん。おっぱいに潜むエロさを認識しつつも、おっぱいから離れられない息子を案じて突如始まった断乳大作戦の結果はいかに。
「触覚だし」コーナー
「触覚だし」コーナー
「触覚だし」コーナー
「触覚だし」コーナー
デビュー前の作品。
「ぶ〜け」の新人コンテスト「漫画家養成コース」に投稿した作品。
絶世の美女 泉さん
コスプレ泉さん
絶世の美女 泉さん
コスプレ泉さん
「やあ」コーナー
「やあ」コーナー
「やあ」コーナー
「やあ」コーナー
ママたちの共感を呼んで大ヒット!
東村アキコを広く知らしめた出世作
多忙を極める作者が愛息・ごっちゃんの育児に奮闘する日々を描いたエッセイマンガ。
ごっちゃんの奇想天外な行動や発言とママの独特の対処方法が、育児という「答えのない難問」に不安をもつママたちに安心と笑いを提供。発売3日で増刷が決まる大ヒット作となった。育児経験のない人でも容易に想像して笑えるほど、育児の辛さを見事に“楽しさ”に転換した名作だ。
東村アキコの一言
私を大人にしてくれたターニングポイントの作品です。
もともとは出産報告がてら描いた8Pのエッセイ漫画がキッカケの、はっきり言って“手がかかっていない作品”なんです。なので、これまで必死で考えて描いたものの100倍、この作品が売れたことは正直ショックでした。でもそのおかげで「自分が描きたいもの」と「世間が求めているもの」が違うことに気付いたんです。言うなら、カラオケでアルバム曲を歌ってちゃ盛り上がらないのと同じですね。この作品がなければ、ずっと売れない漫画を描いていたと思います(笑)。
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
絶世の美女を取り巻くさまざまな騒動を描く非日常ラブコメ
主人公は絶世の美貌を持つ女性・紺野泉。しかし、“あまりにも美しすぎる”がゆえに、関わる男たちを不幸にし、女からは妬まれ、薄幸な人生を送っていた。故郷も家族も捨て、自らの命も投げ出そうとした際に、人気画家・青山仁と出会い恋に落ちる。しかし画家は稀代のプレイボーイ、かつ既婚者だった…。
泉を取り巻く本来は深刻な騒動も、東村作品でおなじみの寸劇を随所にぶち込みながら、絶妙なバランス感覚でポップに描く。
東村アキコの一言
美人を描くことを意識した作品 ドラマの地上波再放送も希望!
「絵をちゃんと描く」「美人を誰よりも美人に描く」ことを意識した作品。当時は育児も落ち着いてきて、原稿と向き合える時間が増えたことが助けになりました。
ドラマは見事に原作のノリを再現してくれていて、嬉しかったですね。ただ、放送時間がロンドンオリンピックとモロに被っていたんですよ。出来がよかっただけにホントにもったいない。主演の菜々緒ちゃんが女優として今以上にブレイクしたら、夕方あたりに再放送してくれるんじゃないかと期待しています(笑)。
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
芸能人を目指し宇宙人の子どもが大奮闘
主人公のメロポンは、芸能界に憧れて宇宙からやってきた男の子。たまたま上陸した原宿のビルの屋上で暮らす便利屋のイケメン・若様を父親と慕い巻き込みながら、芸能界デビューをひたすら目指していくドタバタコメディ。
雑誌連載に加え「LINEマンガ」では全編カラーで掲載。単行本もオールカラーで刊行されている。
東村アキコの一言
シングルファーザーの物語を素直に描けばよかったかな。
旦那がごっちゃんと遊んでいるのを見ていたら、「シングルファーザー」モノが描きたくなったんですよね。『テンパリスト』が終わっても続いていた、ごっちゃんの面白い言動も描きたかったし。でも、そこに宇宙人とか芸能界とか、余計なものをいろいろ足しちゃった(笑)。今思えば、素直にシングルファーザーの物語を描けばよかったかも。「あ〜、世の中とズレたかな、私」なんて感じちゃいました(笑)。でも、私のコアなファンの方々は楽しんでくれたみたいなのでOKです!
「東村アキコ解体新書」(講談社)より
事件のカゲには食があり食の裏には
ナゾがある…食にまつわる探偵奇譚!
グルメなイケメン探偵、明智五郎を主人公にした物語。ワゴン販売の弁当屋を経営する小林一号(小林苺)をなし崩し的に助手としてしたがえ、くされ縁らしき上遠野警部に胡散臭がられつつ、食にまつわる事件を鮮やかに解決する。事件の影には常に、かつて明智に夫の浮気調査を依頼し、夫を殺害後、断崖から身を投げ行方不明になっている謎の女性「マグダラのマリア」の存在が…。
東村アキコの一言
まさか私が探偵もの、そして美食ものを描くことになろうとは……
次の連載がまったくノープランで、適当に「グルメもの…?」みたいな感じで。宝塚の好きな担当さんで、私が今では一番好きな「黒蜥蜴」(江戸川乱歩原作)の舞台に連れて行ってくれた方なので、探偵ものが一緒になって「美食探偵」。「タイトルムチャ振りか?」と思いきや、描いたらすごく楽しくて。マリアという描いたことないような悪役が出てくるんですが、すっごい好きです。
『メロポンだし!』は2013年5月30日(木)発売の『モーニング』26号で連載開始されると同時に、電子版の「Dモーニング」およびLINE公式電子コミックストア&ビューアプリ「LINEマンガ」の3つのメディアで同時に連載開始された。雑誌は表紙&巻頭カラー。電子媒体2つはオールカラーで配信され、単行本化の際もオールカラーで書籍化されている。カラーリングはアシスタントで『ジャニオタあるある』のイラストを描いている二平瑞樹が担当したとのこと。
展示の原画は連載初回のもので、巻頭カラーの部分は線画と彩色したものが存在する。
また、パネルは単行本掲載時のもの。単行本時のものは、彩色した原画からさらにカラーが調整されている。